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【温故知新】

紫式部の源氏物語「若菜上」の帖に、若い方々が蹴鞠のあと、梨・柑子などとともに「つばきもちひ」を食べた、と記されています。

このことから、平安時代から千年以上に渡って食べ続けられた、最古の餅菓子のひとつではないかと言われています。

【菓匠より】
歴史ある和菓子は、淘汰の波をくぐり抜け、味に、意匠に磨きをかけ続けてきました。

千年の歴史が磨き上げた逸品「椿餅」。

歴史的には、長い間、道明寺糒で作られてきました。ところが、いつの頃からか、名古屋を中心とした和菓子店では、メレンゲとともに練り上げた真っ白な羽二重餅で作られるようになるのです。

しかも、大変化は道明寺が羽二重餅に変わっただけにとどまりません。通常お餅類は、ベタツキを防ぐために片栗粉を使用します。ところが、椿餅は寒天液をくぐらせることで、艶やかなに仕上げられたのです。その見た目の美しさ、食べた時の美味しさは、私にとって衝撃的でした。

わが故郷では、雅な餅菓子文化の象徴である「椿餅」を手厚く作っているお店はほとんどありませんでした。微笑庵では、この季節に是非召し上がって頂きたいイチ押しの和菓子として、2月限定でご紹介させていただきます。

椿葉の緑と、羽二重餅の白のコントラストは気品に溢れ、ふわふわととろけるような羽二重餅と、こしあんの調和は絶妙です。
(椿葉は季節感を象徴する装飾です。取り除いてお召し上がりください)


バレンタインにチョコレートも良いですが、歴史ある高貴な和菓子に、和歌を添えてお贈りしてみるのもおススメです。

わが門の片山椿まこと汝
    わが手触れなな土に落ちかも <万葉集>

※限定品につき予約をお勧めいたします