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かしわ餅が好きです。

上質なお米の香りを楽しむ菓子。
米が主食の日本人の心を鷲掴みにする香りだ。

「歯形が残るほどむっちりとしていて、
 それ以上噛むとプリッと切れる歯切れの良さを目指しなさい」

師・佐々木勝は、言葉にならない美味しさを、
適切に表現する名人だと思う。

同じレシピ、製法を守れば、一定の味わいは表現できる。
でもかしわ餅は味だけで満足してはダメな菓子だ。
姿・形に色気がなければ台無しだ。
kasiwa
「蛤型・兜型」
と言われる、独特のフォルム。
閉じ口は女優の唇の様な色気を醸し出す。

修業中、何度も何度も弟子を叱咤激励し、
色気あるかしわ餅を目指せと美意識まで鍛えてくれた師匠。

著書「和菓子人」の中で、
それを象徴するエピソードが紹介されている。

修業時代の思い出を振り返るコーナーで、
朝日風月堂の河崎さんが語ったこの一言。
練習に励む弟子の作った柏餅の中に、たった一つだけきらりと光る美しいフォルム。
「これ作ったの誰?」
は、たった一つだけ作った自分のお手本。
「天才がいるのかと思った」
と笑う師匠が忘れられません。
インスタ 引網 かしわ餅
https://www.instagram.com/p/BiIjbt6lhpc/

師匠の技を受け継ぐ職人の中で、心から尊敬できる仲間のひとり「引網康博」さん。
インスタグラムでかしわ餅を包む動画を公開している。

その美しい手業に、師匠の技と心がしっかりと生きている。
スタッフとシェアし、穴のあくほど何度も見るように伝えた。

かしわ餅は単に美味しいを超えた美意識を讃えた菓子だ。