カテゴリ:
kouetu
ひとくちに「栗蒸し羊羹」といっても、千差万別。
姿形も、食感も、お店によって全く違うし、
同じレシピで作っても、同じように作るのは至難です。

師匠は、私の在籍した3年間だけでも、
葛やわらび粉を加えたり、薄力粉と強力粉を混ぜたりと、
何度も何度も 改善を繰り返していました。
おそらく今でも「もっと良くなる」と信じて工夫を続けていることでしょう。 

京山さんでお世話になって良かったことの一つに「立地」があります。
地下鉄東西線で日本橋までたったの20分。
毎月1回は三越さんと高島屋さんをハシゴしていました。
都内の名店に伺うのもアッという間です。

秋の和菓子の食べ比べの中で、
私がもっとも感銘を受けたのは…
11
この雑誌はお宝なのであえて名前は書きませんが、
村山なおこさんが書いたこの記事の通り、感銘を受けました。
修業をしていた1995年ごろは、
まだ今ほど有名ではなかったと思います。

そしてこの本
kurusukei
書評は和菓子の本棚に掲載済みなので繰り返しませんが、
今では文字だけの色気のない本ですが、
出版当初はネットと連動していて、
紹介されたお菓子の写真を見ることができるようになっていました。

当時6,000軒を食べ歩いたという来栖さんが、
和菓子部門のNo.1にしたお菓子…
それは、私が想う秋一番のお菓子と同じものでした。

栗蒸し羊羹には本当に色々な表現がありますが、
私は「これしかない」と思い、何度も何度も試作しては、
無謀にも憧れの菓匠に持参して意見を求めました。
何度も…何年も…

そして2004年、「こうえつ」は生まれました。

「姿形、香り、味わい・・・・・。
 秋、日本に暮らす幸せを感じさせてくれる逸品。」

村山なおこさんのコピー、まさにそのままのお菓子。

夏が過ぎ、初物の新栗で作った最初のこうえつを食べた時、
震えるほどの感動を、私自身が感じてしまう程、
大好きで大切なお菓子です。