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「秋に栗をむく」なんて、何を当たり前のことを!
しかし、缶詰の栗が普及した今、
秋に栗をむく和菓子屋がどんどん減っています。
eitaro
<榮太郎工場図 グラフィック社「和菓子」より>

引用した画像は、明治の和菓子屋の厨房。
現在当たり前に使われている製菓機械は何一つない。
全てのものが手作りだし、保存料だってありゃしない。
作ったら真剣に売り切らなければならない。

今の世の中、相当便利になったけど、
和菓子の世界は、先人の方が良い仕事をしていたんじゃないのか?
先人の菓子の方が美味いんじゃないのか?

だったら、少なくとも微笑庵は、
先人の手仕事の魅力を守り、次代に繋ぐ架け橋になりたい。
kurimuki
 だから、栗の収穫が始まってから終わるまでの1か月間は真剣だ。
毎日、毎日。来る日も来る日も、栗をむき、栗を蒸し、栗をほる。

缶詰の栗だって十分美味しいけど、 
手むきの新栗の美味さを信じ、面倒くさい栗むきを楽しもう。 

「日本文化の魅力を学びなおしたい」
と職場体験にやってきた県立女子大学のHさんも、
朝から夕方まで栗をむき続ける作業に驚いたはずだ。

歩いて5分。烏川のほとりに、どでかい栗の木がある。
父は持ち主のTさんに交渉して、その栗が毎朝届くようになった。
県産の良質の栗を探し出し、毎日買い出しにでるのも父。
ちごもちの苺の生産者を発掘したのも父。
自分にはない行動力に頭が下がった。
kouetu ari
手むきの新栗をたっぷりと使った栗蒸し羊羹「こうえつ」
この写真は収穫最盛期の栗畑の中で撮影して頂いた。
カメラマンを夢見て、本当になってしまったドリームフォト・篠原さんの1枚。 
手前の蟻さんも、栗畑の撮影ならでは微笑ましい。

先人の素晴らしい手仕事を守り、次代に伝える。
「くりまろげ」「こうえつ」には、そんな想いも込められた、
美味しいを超えた逸品です。