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2018年10月

みやびもち掲載

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微笑庵 様 たかナビ10月号 原稿案-1
本日(10/29(月))上毛新聞さま朝刊に、「みやびもち」の広告掲載をいたしました。

上品な甘みと爽やかな酸味の調和が絶妙な「グラウンド・チェリー」(フルーツほおずき)を羽二重餅でふんわりと包んだ季節限定品です。

昨年は11月末まで販売できましたが、今年は猛暑で収穫期が早まった関係で、あと1週間前後で販売終了となりそうです。貴重な秋の味覚を是非ご賞味ください。

和菓子が切手に!

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切手収集の趣味はまったくありませんが、この切手だけは素通りできませんでした。
プレスリリースを確認したところ、デザインは星山理佳さん、虎屋の中山圭子さんもご協力されているようです。
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和菓子の切手の特設サイトが開設されています。
(期間限定かもしれません)
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ゆうびん.jp  特設サイト




工作すると豆本と重箱になる特別セットを解説する動画まであります。

もう一生切手を買わなくていいくらい、まとめ買いしてしまいました。
この切手で誰にお手紙を書くのか、いまから楽しみです。

菓匠京山の宝物

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京山
微笑庵のスタッフと一緒に京山さんに伺ったのは初めてです。
まずは、なにもかもが懐かしい。

饅頭ひとつ包むことができず、ピンポン玉を回すところから始まった私の菓子職人としての原点。当時10人いた兄弟弟子は全国各地から集まっていました。時に本人が、時にご両親が、師・佐々木勝さんに憧れていました。
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修行中の貴重な写真。製菓製パンさんが、師匠の取材で撮影した写真を、わざわざ弟子の私の分まで焼き増してプレゼントして下さいました。小林ゆかりさんの文章からは、そんな細部にまで気の付く温かさがにじみでていて、今でも読むと励まされたり、元気になることが多いです。

20代のスタッフに、直接伺わなければ食べられない絶品を紹介したくて予約をして買ったものは…
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団子と豆大福です。あまりの美味しさに、写真を撮らずに全部食べてしまったので、画像は弟子を代表して「菓匠徳増」さんの団子。新生TVチャンピオン極で優勝し、注目を集める「ハマの和ティシエ」も、師匠の団子の素晴らしさを誰よりも理解し、大切に受け継いでいます。

「美味しさ」というあいまいな概念に、絶対的な基準なんて無いように思われがちですが、私はあると思っています。それは、師・佐々木勝さんが、美味しさを言語化する天才でもあったからです。

「餡は柔らかさを極めるギリギリの線をめざす」
「餅であるならば、歯ごたえがないといけない」


トレハロースでおなじみの林原さんが出版した「トレハを知り、和菓子を創る」の中で、佐々木さんの文章が巻頭を飾り、出版記念講習会では、監修した全国多数の菓匠を代表して、佐々木さんが講師を務めました。その時に紹介した「萩の舞」の美味さは飛びぬけていましたし、「まりも」の美しさと卓越した技術に息をのんだ方も多かったと思います。
佐々木さんの味覚を研ぎ澄まさせたのは、幼少期の原体験だと、私は確信しています。
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著書「和菓子人」には、佐々木さんの壮絶とも思える幼少期が、飾り気ない自然体の文章で描かれています。生まれて数か月で父を亡くし、子供4人を精一杯育てるお母さま。決して裕福ではない佐々木家が大切にしていたのは、暮れの餅つきです。つきあげた2斗のお餅が、カビが生える前にきれいになくなってしまう様子が、目に浮かぶように書かれています。

後半に、修行中の思い出を弟子が寄稿するコーナーで、北海道北斗市の福島さんが「つきたての餅に餡をつけて食べたアノ味が忘れられない」と書いています。まさに私も同じ気持ちです。師匠が作る大福には、師匠が1年を待ちわびて楽しみにしていた幼少期の餅つきの味が生きている。だからこそ、師匠の餅は絶品なんだと思っています。

微笑庵のスタッフに、「私は弟子たちに技術を教える、というよりも、人間を育てることを大切にしています」と語ってくださいました。

師匠の大福ではありませんが、菓子にはその人そのものがでる。
「菓子は人なり」
が、師匠の口癖でした。

団子や大福は日持ちがせず、取り寄せることができません。一見地味な朝生菓子ですが、私にはどんな菓子よりも輝いて見えます。まさに京山の宝物、私の人生の宝物の一つです。

日本一の製糖工場見学

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微笑庵の目指している7つの行動指針「和菓子ルネッサンス宣言」の中に、「厳選した素材を使う」という項目があります。これは、ただ単に良い材料を使うというだけでなく、生産者や生産現場に積極的に足を運ぶ、会いに行くことを目指しています。

砂糖関係に強みをもち、卓越した知識と真心こもった営業力でサポートを頂いている食品商社「小板橋」さまのご配慮で、「新東日本精糖」さまの日本最大規模の製糖工場を見学させていただきました。
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ピラミッドの様に積み上げられた原料糖。そのあまりの量に圧倒されます。
(工場見学中の写真撮影は禁止。上記写真は新東日本精糖さまHPより)

この時点では茶色い原料糖が、洗浄、ろ過などの工程を経て、無色透明の糖液になり、それを煮詰めて結晶を育て、遠心分離機で結晶と液体に分けて製品化し、金属探知機を通して出荷されます。(製造工程は新東日本製糖さまHPで動画付きで紹介されています)

原料糖は船で運ばれてきますので、その時点で無菌はありえません。しかし、それを精製する工程で、外気や人手から遮断され、自動化、集中制御で生産管理されています。すべては食品インフラである砂糖の絶対安全のためです。多くの資本と、製品の品質と安全性を高める職人魂、精神性が、ここまでの設備を作ったんだと思いました。

製糖工程や最終製品の品質の高さは、国際比較すると差が歴然だそうです。日本人の砂糖の純度(白さ)へのこだわりは世界トップレベル。海外では「ここまで精製せず、ちょっとくらい茶色くても十分」という国々も多いそうです。

また、純度だけではなく、結晶の大きさへのこだわりも、日本人は飛びぬけて高い。
グラニュー糖だけで、粒の大きさが4種類。
白双糖でも、粒の大きさは4種類。
合計すると、粒の大きさだけで8種類のバリエーションを常に揃えています。これほどの品ぞろえは、国際的には奇異にみられるほどだそうです。

微笑庵では、日新製糖さんの「特F」という一番大粒の白双糖を長年愛用しています。お砂糖の純度で言ったら、グラも白双糖も同じです。ただ、結晶を大きく育てるのは、手間も時間もかかります。
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まるで金塊のような台形をした純結晶。インゴットとよばれているこの形は、砂糖の結晶そのものの自然な形で威厳があります。大粒の結晶がゆっくりと溶け出すことで、餡を炊くときに小豆の粒子に糖分がゆっくりと浸透し、芯までしっかりと甘みが入る。菓子職人が大粒の白双糖を愛用する理由はここにあります。

製糖工場に実際に足を運ぶことの大切さは、その圧倒的は規模感を感じること。製糖現場での暑さや甘い香りを実際に体験すること。大規模な投資の結実である衛生的な製造工程と、それを支える現場の人々の情熱を感じること。私たちのような小さな和菓子店であったとしても、社長さまが直々に会社の役割や社会的意義について、熱をもって説明されること。スタッフの皆さんの清々しい対応と、誇りと自信をもって働いている様子を感じることです。
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狂言・附子(ぶす)の一場面(善竹富太郎さまHPより)

狂言の演目になるほど、古来「甘いもの」は人々の憧れでした。
清少納言の枕草子の中でも、削り氷に「あまづら」をかけたものは「あてなるもの」、高貴で雅なものの代表とされました。(あまづらは甘葛を煎じた汁。平安時代の甘味料。キリン食文化研究所さんのHP解説が素晴らしいです)

私たちは、皆様の生活に潤いや豊かさを感じて頂けるような、「あてなる」和菓子を求めて、これからも精進させていただきます。工場見学を通して、私たちも自分の仕事に自信と誇りを持てるよう、衛生や安全への挑戦を少しでも進化させたいと思いました。



尚、一部の人々の間で「白いお砂糖は健康によくない」「茶色いお砂糖の方が体に良い」という風説がありますが、科学的な根拠が希薄です。健康に良くないのは糖類の過剰摂取です。独立行政法人農畜産業振興機構のHPで詳細が解説されています。ご参考まで。

みやびもち販売開始

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グラウンド・チェリー(フルーツほおずき)の羽二重餅
「みやびもち」
今シーズンの販売を開始いたしました。
10月~11月の2か月間限定の予定です。

本日はこの方と出会わなければ、
このお菓子は生まれなかった、
という生産者のご紹介をさせて頂きます。
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福田さんは信州の高原でこのフルーツと出会います。
食べた瞬間に虜になり、
このフルーツを故郷に広めたいと作り始めます。

地元で作っている方もなく、
数少ない情報を頼りに独学で栽培するものの、
思ったほどの収穫ができない状態が続きます。

その期間はなんと20年です!

悩んだ末にだした結論は
「高原で育ててみたい」という挑戦です。
最初に食べた場所も高地でした。

榛名山が間近に見える標高600mの中腹で
新たな挑戦をしたところ、
今までの苦労がウソのように、
思い通りの生育、収穫を達成するのです。
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やっと思い通りに作れるようになって5年。
次の目標は、このフルーツを故郷の名物に育て上げること。

静かに、しかし情熱を込めて語る生産者の志に打たれて
「みやびもち」は生まれました。

秋限定の羽二重餅として、
多くの方に喜んで頂けるお菓子に育てたいと思います。

※昨年11月の記事を再掲し、改めて生産者の熱意も含めてご紹介させていただきました。

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