丹波大納言 畑を巡る旅
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- 餡こそ命! あんに賭ける!!
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「説明しなくても心から心に伝わる上質な和菓子」を目指す微笑庵にとって、原価が高いという理由で扱う菓匠が少ない素材でも、美味しいものならば積極的に扱うことにしております。

京都産丹波大納言。中でも、機械を使わず、完熟した鞘のみを手で収穫する「手穫り」(てぼり)によって、丹波の中でも最高品質を追及する「新庄小豆生産組合」の小豆は極上品です。価格は北海道十勝小豆の3倍を越えます。
京都「美濃与」様のご厚意により、丹波大納言の勉強会に参加してまいりましたので、ご報告させて頂きます。

小豆畑の見学から勉強会は始まります。11月8日にうかがったので、小豆の葉はほとんど枯れていますが、完熟した鞘のみ手収穫している畑なので、最終晩の鞘が完熟し収穫を控えていました。

前組合長の松井さんから、今年の生育状況について丁寧な説明がありました。

会場を変えてパネルディスカッション。
美濃与さまの進行で、「菓子職人」「生産者」「行政担当者」の三者が、最高品質を目指して挑戦している取り組みについて、意見を交換いたしました。

生産者のお話しで特に忘れられないものを一つだけ紹介します。
小豆の花は約1か月かけて咲き誇ります。しかし、機械収穫の小豆は1日2日で刈り取られます。これで最高の品質が期待できるでしょうか? 私たちは、完熟した鞘のみ手で収穫することで、圧倒的に優れた品質の小豆を提供していると自負しています。
勉強会の後は、全国から駆け付けた尊敬すべき菓匠との情報交換です。憧れの菓匠とのお話しは時がたつのを忘れる程。深夜に及んだ親交は一生忘れることのできないものです。

翌日は最高の素材を実際にお菓子に活用する実践セミナー。
現代の名工にも選ばれた、近江「とも栄」の西沢勝治さんと、新進気鋭の若手職人、勝仁さんによる親子の共演です。慣れない会場と器具にもかかわらず、5品のお菓子を次々にご教示頂きました。素材について、製法について、丁寧な解説と献身的な姿勢に、心から感動いたしました。5品の中では「抹茶のダックワーズ」が本当に美味しく、微笑庵でもチャレンジしてみたい逸品です。

実はこの勉強会に参加するのは2回目、8年振りです。
前回参加した時の様子もブログに書かせて頂きました。
畑を見れば作り手の志がわかる
お世話になった美濃与の山口さんからお手紙を頂き、今でも大切にしています。その一節が、新庄公民館に掲げられた額の言葉と一緒だったので、一部ご紹介させて頂きます。
「ただ小豆を植えているだけの畑と、手塩にかけて最高品質を目指している畑に違いがあることを是非忘れないでください。畑を見れば作り手の志がわかります。ここまでくるのに何年もかかってますし、これからも進化すると信じています。一度見ただけでわかったと思わず、一生が勉強だと思い、本物を見極める目を養い続けて下さい。」
額の故事は「学びてしかる後に足らざるを知る」。学んでみてはじめて、自分がいかに知らなかったか、ということがわかる。だから一生涯、学び続けることを大切にしましょう、という意味です。
生産者のご苦労と情熱を感じながら、最高品質の和菓子を目指し地道に精進させて頂きます。