隻眼の菓匠
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叶匠寿庵創始者・芝田清次さん
昭和12年に盧溝橋事件に端を発して開戦した日中戦争。
芝田さんは初等教育がすむかすまないかの一つ星の新兵として、
中国大陸の最前線の部隊へ従軍していた。
昭和14年、10名ほどの小隊の一員として夜間の敵情偵察中、
隊員の一人が地雷を踏みぬき、芝田さん他3名以外はその場で即死した。
3名でしばらく身を寄せて隠れていたが、
夜明け近くに移動をしようとしたところを狙撃兵に狙い撃ちにされた。
弾丸は左のこめかみに命中し、斜め左目へと突き抜け、
眼球の三分の二ほどを吹き飛ばした。
奇跡的に一命は取り留めたが、左目は義眼となった。
この壮絶な経験が、芝田さんを尋常でない生き方、
亡くなった戦友の分まで、自分の命を大切に、
世のため、人のために生かしきることに繋がったのではないかと推察します。