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2009年07月

隻眼の菓匠

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叶匠寿庵創始者・芝田清次さん

昭和12年に盧溝橋事件に端を発して開戦した日中戦争。
芝田さんは初等教育がすむかすまないかの一つ星の新兵として、
中国大陸の最前線の部隊へ従軍していた。

昭和14年、10名ほどの小隊の一員として夜間の敵情偵察中、
隊員の一人が地雷を踏みぬき、芝田さん他3名以外はその場で即死した。

3名でしばらく身を寄せて隠れていたが、
夜明け近くに移動をしようとしたところを狙撃兵に狙い撃ちにされた。

弾丸は左のこめかみに命中し、斜め左目へと突き抜け、
眼球の三分の二ほどを吹き飛ばした。

奇跡的に一命は取り留めたが、左目は義眼となった。



この壮絶な経験が、芝田さんを尋常でない生き方、
亡くなった戦友の分まで、自分の命を大切に、
世のため、人のために生かしきることに繋がったのではないかと推察します。

花雲水

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P1020354
私事ですが、
39歳の誕生日を迎える前にどうしても読んでおきたい本がありました。

『花雲水』

叶匠寿庵の創業者、故・芝田清次さんの自伝。

叶匠寿庵を知らない方のために。
滋賀県大津市発祥の和菓子店。
現在、全国に70店舗を展開する和菓子のトップブランドです。
特に素晴らしいのは、「和菓子×デザイン」の追求。
高崎高島屋にも出店頂いたおかげで、
美しいディスプレイや季節の提案を、東京まで行かずに見ることができます。
拝見するたびに学ばせて頂いています。

「花雲水」は昭和60年(1985年)に上梓されました。
当時、全国の百貨店の和菓子部門の売上上位を独占。
大津市内に6万坪の広大な土地を買収し、
「農工一体の菓子作り」の理想を掲げ『寿長生之郷』を完成させました。

その創業は芝田清次さんが39歳のとき。
大津市観光課の職員を退職し、
和菓子の製造に関する技術はほぼゼロからのスタートでした。

資本、技術などほぼゼロから、
これほど素晴らしい和菓子店が誕生した奇跡!
まるで夢のようです。

研ぎ澄まされた深い教養から綴られた美しい文章は、
少々難解で、今まで読み進むことができませんでした。
しかし、39歳を目前にした今だからこそ読みたいと願っていたからか、
今まで読めなかったことが嘘のように、行間まで心に沁みるように読ませて頂きました。

やってて良かった

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「和菓子」なんて、食べなくても生きていけます。
あっても、なくても困らないもの。

でも和菓子を贈ること、和菓子でもてなすこと、和菓子を食べることに、
大きな安らぎや喜びがあったらいいなと思っています。

「和菓子屋」なんてたくさんあります。
スーパーやコンビニにも和菓子はたくさん売っています。

でも「微笑庵」で買いたい、と思っていただけたら嬉しいですね。
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大好きな「Tonbi Coffee」、実はお客様から頂きました。

ご結婚披露でしょうか、ご結納でしょうか、
若いお二人から紅白のお饅頭のご注文を承りました。

お二人の門出を祝うように、
精一杯ご用意させて頂きました。

ちゃんと作って当たり前。
それなのに・・・

『とてもきれいで美味しくて感動しました!』

とお二人でお礼のCoffeeを持ってきてくださったのです。

和菓子屋をやってて良かった!
この一瞬のために、和菓子を作っているのかもしれません。

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