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2008年07月

和菓子教室 『朝顔』

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和菓子屋さんの繁忙期は、
朝から晩までぶっ通しで仕事をすることも多い。
そういう時期は、子供の寝顔を見て出勤、帰宅は眠った後。
何日も話もできない日々が続くこともしばしば。

家族に対して申し訳ない気持ちはあっても、何一つできない。

そんな時に支えてくださるのは、
子供を通してご縁を頂いた同世代のお母さん達。
ご自宅に招いて頂き、一緒に夕食をたべさせてもらったり、
園の送り迎えを交代で手伝って頂いたこともあった。

本当に嬉しかったし、ありがたかったです。
どんなに御礼をしてもし尽くせない程に。

そんな日ごろお世話になっているお母さん達に、
せめてもの恩返しのつもりで、
子供たちを招待して和菓子教室を開いた。
教室1
テーマは「朝顔」。
夏休みの宿題で毎日観察している朝顔を、
和菓子でどう表現するのか、体験してもらった。

ピンクと白のねりきりで薄紫色のこしあんを包む。
ふきんでギュッと絞り、中央をその絞り目でくぼませて、
角切りの寒天を添える。
あらかじめ溶かして固めた黄緑色の羊羹を、
葉っぱの抜き型で抜いて、お花に飾ったら完成。


先生の朝顔。
朝顔2
子どもたちの朝顔。これはこれで可愛い。

小学校1年生が中心でしたが、皆とても集中して、
見事な朝顔をこしらえました。
しかもとても楽しそうに。

今夜は、お父さん、お母さんに、
作ったねりきりをプレゼントしているはず。
喜んでもらえたかな?

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子供たちが和菓子を食べる機会が少ない!
特に「ねりきり」などの上生菓子。

『このままでは和菓子は衰退の一途では?』

親しい友人からも心配の声を聞きます。

何もせずに手をこまねいていても仕方がないので、
今できる事に精一杯取り組んでいこうと思っています。

和菓子教室はそのひとつ。
子供たちのはじける様な笑顔に助けられながら、
地道に続けていきたいライフワークのひとつです。

志を受け継ぐ

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父の友人の菓匠が来月のお盆を持って閉店することとなった。
上生菓子と工芸菓子の名人を毎月高崎に招いて、
共に学んだ仲間であり、ライバルであったはずだ。
心中は複雑だと思う。

その尊敬する菓匠から生菓子の道具を引き継がせて頂いた。
木型s抜き型
この道具でどれだけのお菓子を作ったことか。
どれだけのお客様を喜ばせたことか。



菓子は作り手の写し鏡だ。
同じ道具を使ったところで同じ菓子などできない。



ただ、ひたすらにお客様に、召し上がった方に喜んでいただきたい。
その気持ちだけはしっかりと受け継ぎたいと思っている。

こしあん作り

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こしあん
微笑庵のこしあん 師匠が「藤色」と呼ぶ薄紫色が特徴 塩は一切入れない



小豆を一晩水につける 真っ赤になった水は捨てて新しい水で炊き始める


製餡ではアクのことをシブと言う 渋切りの回数は季節によって倍以上違う


すっきりとアクが出なくなったら本煮 これも季節により時間が倍以上違う


小豆がすっかり柔らかくなったら裏ごし 小豆のゴのみを使う


麻袋で絞った生餡を白双糖の蜜に投入

修行から戻った直後、ラジオ高崎の「この人に10分」と言う番組から取材を受けた。
取材してくださったのは尊敬する経営者でもある根岸良司さん。
「微笑庵のこだわりはナニ?」
と聞かれて、私は
『餡です』
と答えました。
「餡なんてそんなに違うものなの?」
という素朴な疑問にアツク語ったような記憶があります。

群馬県は製餡・製菓の分業が進んでいます。
餡は製餡所から買うのが当たり前になっていました。

これは製餡所がクオリティーの高い餡を提供した、と言う側面があり、
一概に悪く言えないのですが、
「和菓子屋が餡を自分で炊かない・炊けない」
ということに、ものすごい違和感を感じて帰省したことを覚えています。

私の店も例に漏れず餡を買っている店でした。
私が修行からかえって一番初めに取り組んだことは、
「餡を極めることでお客様に感動を与えること」

とはいえ、小豆を裏ごしする機械がありませんから、
最初は大きなふるいを買って、手で裏ごしをしていました。

丸一日かけてたった1升の小豆をこしあんにする。
父はあきれるやら頭にくるやらで、カンカンでしたが、
私は頑としてこの製餡作業を止めませんでした。

ラジ高取材の根岸さんも、
「そこまでする価値があることなの?そんなに味が変わるの?」
「あんこにこだわっても、お客さんはわからないんじゃないの?」
と矢継ぎ早に核心を突く質問をしてくださいました。

『和菓子は餡が命です。私は餡に賭けています。』
と答えたような気がします。

白玉ぜんざい 始まりました

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ぜんざい
丹波大納言製 白玉ぜんざいの販売を開始いたしました。


丹波大納言は大粒で薫り高く、煮崩れしにくいことから、
殿中で抜刀しても切腹しなくても済む冠位「大納言」と名付けられたと言われています。

小豆の煮崩れを業界用語で「腹ワレ」といいます。
切腹をイメージするので、できれば避けたいところです。

ところが、美味しい粒あんは、この「腹ワレ」ギリギリまで表皮を柔らかく炊くことが必須。
小豆の表皮が硬いと、ごわごわしてしまい、食感を大いに損ねます。
かといって煮込みすぎると、腹ワレして中のゴが溶け出し、蜜が濁ります。

表皮が柔らかく、なおかつ腹ワレしないポイントは、ほんの一瞬です。
そのポイント以上でも、以下でもダメなのです。

難しいのは、この小豆の煮える時間が季節によって変わるのです。
収穫されたばかりの新小豆は数分で煮えるのに、
夏の暑さで乾燥した小豆は1時間近くかかります。

小豆を炊くということは、柔らかすぎず、硬すぎない一瞬を見極めること。
毎日のように小豆を炊いていても、完璧に炊きあがることはめったにありません。
奥が深く、だからこそやりがいのある仕事でもあるのです。

武田くん 来高

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修業時代の兄弟弟子、武田くんが高崎に来ました!
17時から東京でアポがあるとのことで、
スターバックスでほんのひとときのティータイムを楽しみました。
武田くん
新幹線に急ぐ武田くんの背中を記念に写す


当時、京山の富浜店の2階が寮になっていて、
6畳の部屋に2段ベッドが2つ。
仕事お終えた後、布団にもぐりながら共に夢を語ったような・・・

いちばん多い時で7人くらいで寮生活をしていると、
一番面倒なのはお風呂と洗濯機の順番待ち。

普通に仕事が終わる日は問題ないけど、
年末年始やお節句など、
夜中まで仕事して早朝出勤しなければいけないとき、
一刻も早く風呂に入りたいのに、順番待ちは辛かったかなぁ~・・・


岐阜県の中津川市で栗菓子専門店を経営しています。
私の栗菓子の師匠です。

信玄堂では毎月一回新作を発表しています。
私が頂いた夏限定の和菓子は、本当に美味しくて感動しました。

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