
2008年02月
創作饅頭コンテスト
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【師匠の思い出】
修行中の話しです。
日本菓業振興会という和菓子の研究会主催で
「創作饅頭コンテスト」が実施されました。
チーズや生クリームなど、新作の饅頭が多数並ぶ中で、
師匠・佐々木勝は、店に並べて販売している、
何の変哲もない薄皮の薯蕷饅頭を出品しました。
それが、ナント優勝!!
会場を後にしながら師匠は弟子に言いました。
「普通の人には、何の変哲もない普通の饅頭に見えるかもしれない。
しかし、普通のものに精魂を込めれば普通じゃなくなるんだ。
ふっくら、しっとりとした皮。
ぎりぎりまで柔らかくふくよかに炊き上げた粒あん。
この基本こそが大切だし、誰にでも真似できるものじゃないんだ。
このお饅頭の秘伝は配合じゃない。
「あんばい」なんだ。
この味を忘れるなよ。
このあんばいを忘れるなよ。
この饅頭は特別なんだ」
弟子の間で伝説になっている創作饅頭コンテスト。
その師匠直伝のお饅頭が・・・
『名残の雪』

師匠の技と志を受け継ぐ、微笑庵を代表する和菓子です。
中山圭子さん
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このBlogで和菓子や菓銘の歴史を書くことがありますが、
そのほとんどは「中山圭子」さんの書籍を参考にしています。
中山さんは東京藝術大学在学時に和菓子のデザインのおもしろさに惹かれて、卒業論文に「和菓子の意匠」を選んだ方。
日本No.1和菓子ブランド「虎屋」にて和菓子の展示企画や資料整理にあたる虎屋文庫の研究主幹。
「和菓子夢のかたち」はパートナーの阿部真由美さんのイラストが素晴らしく、中山さんの文章をさらに輝かせている。
「和菓子ものがたり」の花びら餅の章が圧巻。あの小さなお餅に広大な世界観が秘められているという自説に感動しました。
「事典 和菓子の世界」は、本当に重宝。シンプルに過不足なくたくさんの和菓子の解説がされています。
中山さんは和菓子の歴史を本物の歴史的資料に触れながら編纂されている方。
本やネットで調べるのではなく、一次資料まで掘り下げている本物の研究家。
中山さんの文章に触れることで先人の智慧の深さを知り、
菓子に先人の工夫と研鑽の息吹を入魂するのです。
いつもそばに置いて何度も読み返している大切な本です。
いつかご本人と和菓子談義をしてみたいものです。
※なお中山さんの書籍からの引用に問題があればすぐに削除いたします。