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丹波大納言
艶やかに炊きあがった丹波大納言


私が和菓子の中で一番大切にしているもの。
それは餡(あん)。

どんなに優れた技術で作られた和菓子も、
どんなに素晴らしい設備で作られた和菓子も、
餡がダメならすべて台無しです。

おまんじゅうなどに包まれて、
普段はあまり目立たない餡。
この目立たぬ餡にこそ命を賭けろ!命を吹き込め!!
一番大切なのは「餡」だ!

このように指導してくれたのは他ならない師匠・佐々木勝先生。
本当に最高の師匠に弟子入りしてよかった。


師匠は和菓子の技術研究会で5年連続最優秀技能賞を獲得した伝説の名人。
師匠の腕と人柄に惚れ込んで、今でも全国から弟子が集まっている。

しかし名人のもとで修業したからと言って、名人技は伝承できない。
長嶋茂雄の指導を受けても長嶋になれないのと一緒だ。
息子でさえ、天才の技術を継承できなかったのだ。


それでは、私は師匠から何を学んだのか?

師匠の餡を伝承すること。
餡こそ命! 餡にすべてを賭けろ。

師匠の哲学を胸に刻むこと。
「菓子には作り手の人柄が宿る」
「菓子は作り手そのもの」
「美味しい和菓子でお役に立ちたいという謙虚な気持ちを忘れるな」

師匠が藤色とよぶ薄紫色の端麗なこし餡
極上の小豆、丹波大納言の粒あん

私は名人技は何一つありませんが、
美味しい餡ならだれにも負けないつもりです。